2008年07月25日

秘密

秘密  清水玲子 白泉社

秘密.jpg


これも漫画である。

以前別記事で簡単に触れた記憶がありますが、
お話の内容は、
時代は近未来、「法医第九研究室」という警視庁の一部門を舞台にしている。
人権的な問題とかでまだ実験的に創設され運営されている部門で、世間からは好奇な視線と反感を受けているという設定。

何をするかというと、死亡後10時間以内に損傷のない脳を取り出すことが可能だった場合、それを特殊なMRIスキャナにかけ、生前と同じ状態に保ったそれに一定の電気刺激を与え、脳を120%働かせ、生前に「見て」いた映像をスクリーンに映し出すこと。

この根拠は、人間は記憶を思い浮かべる場合、映像として思い浮かべる、という事。
その時の景色、人の顔、表情等など・・・
それらのデータは脳内に保管されているから、それを取り出すことができる、という設定なのですね。
ただ、そこにはその人の主観も入るわけだから、その人の感情もある程度分かる、という事も主張されている(漫画内の設定ね)。

同じ人を見ても、「意地悪そうね〜」と感じる人と、「そうぉ?」と感じる人。
「あの人美人ね〜」と言う人と、「えー!美人かぁ??」と言う人。

そして、鮮明な映像として取り出せる限界は過去5年まで、という設定もある。
また、注視している物体以外の映像も脳内には残っている、という設定にもなってる。



その結果、被害者の脳であれば殺害犯人、殺害方法などがわかる。
犯人の脳であれば・・・
もちろん、殺害方法、被害者の人数等も分かるが、どのような映像が再現されるかで、犯人の心情が有る程度推測できる、という主張もなされている。

このスキャナで映し出される映像は(音声の再現はまだできていないという設定)、例えば脳の持ち主だった人物がアルコール依存症や薬物依存症だった場合、本人が「見て」いた幻視も再現される。

それらを解析するのが、舞台になる法医第九研究室な訳だね。
でも、上記のような映像を見るので、被害者なら被害者の死の瞬間を追体験する、犯人の映像なら犯人の異常な精神構造を「絵」として延々と見させられるので、研究員も又精神的なストレスに晒される、という設定。



この作品は・・・
万人にお奨め!・・・って言うわけにはいかないなぁ・・・


まず
上記のような異常心理ばかり扱っている(とてつもない凶悪犯罪だけ第九は扱うという設定)以外に、
グロ・・・なのよ・・・

いや、絵は最高に美しいですよ。
登場人物は大方美男美女だし。
諸々の小道具等も正確だし。
とにかく絵は、最高に上手。

でもね・・・
解剖シーンがいたるところに出てくる。
又、お話が凶悪犯罪を解決するって事なので、それも精神が尋常でない犯人を扱うので、殺人のシーンもいたるところに出てくる。
そういう方面が嫌いな人は、× です。多分^^;

何せ、絵がすっきりと美しく(余計な書き込みがほとんどない)上手なせいもあって、解剖現場でスケッチしたのでは?と思わせるほど正確な描写なんじゃ?と思わせるシーンがドバドバ^^;
いや、私は人体構造なんて知らないので、あくまでも想像ですけど、そう思いたくなるほど、繊細詳細に描いてあるって事です。

まぁ、人体構造に関してはまったく陰影をつけてないので(ほぼ線での描写)そういう意味では、スプラッタになる寸前で止めてるのだろうなぁ、とは思います。
(塗り絵にできそうな位白画面なので、自分で色塗ったらとんでもない絵面に・・・)

そういう事で、こういった表現は大丈夫って事なら・・・
そして、人間心理をぐりぐり考える事が好きな方なら・・・

大お奨めです!!!


いやー
すごいですよ。

特に




第3巻のお話の末尾の後日談。
淡々とト書きみたいに、文字だけで書いてあるのだけど、それを初めて読んだ時は、

う・・・うわぁ・・・・・あああ

ってな感じでした。
ドーン!ってな衝撃を感じたような気がしました。
ただの漫画のつもりで読んでて、いきなり目の前に現実を突きつけられた感じ。


ただね、もちろん、そこかしこ?にちょっとした非現実感、まぁ漫画なんだけど、これでここまで行くかなぁとか思う展開はあります。
思うに、この作者さん、今回は物語に重きを置くのではなく、斜め45°?の位置に置いたテーマを言いたいがためにいろいろな事件を出して来ているだけと感じる。

事件そのものの謎解きとかは二の次で、被害者加害者、捜査員、関係者の一人一人の心、人間にはこういう面がある、人ってこういう事するよね?っていう素材を、淡々と差し出しているって感じかなぁ・・・

ただ・・・最近の展開が少し変わって来てます。
主要登場人物の恋愛感情が出てきて・・・
うーん・・・
これが凶とでるか吉と出るか・・・

私は最初、主要登場人物の恋愛感情が出てきた時は、ほっとしたのね。
色のない世界にほんのり色がついた、みたいな^^

甘かった・・・
この作者のこの作品の傾向からしたら、甘い恋愛なんか描くわきゃなかった・・・

うわぁ(;´Д⊂)
と思いながら、続きを読まなきゃ気が済まないという・・・

これも彼女(作者)の人間観察から出た「素材」の表現方法なのでしょう・・・

現実の人生経験をうんと積んだ方はどう取るか分かりませんが、中途半端に人間を観察してぐりぐり考えている人(私含む)には、むちゃくちゃ感じるモノがある作品と思います。




しかし・・・
この清水玲子さん、昔から一味違った漫画を描いていた人だけど、『輝夜姫』(かぐやひめ)の後半当たりから、人体構造を書くようになって、漫画の傾向が変わった気がする・・・

輝夜姫なんて、物語の最初で匂わせていた謎と、物語の後半からメインになったテーマが違うような・・・
あれ?最初の謎の説明ってこれ?みたいな・・・

以前の漫画でもはやり人の気持ちをメインに置いた物語だったけど、それでもストーリーに救いがあったというか(ギャグもふんだんにあった)、読者の事を考えた(その雑誌を読む購買層)漫画だったけど。
うーん・・・
でも『月の子』も甘くなかったしなぁ・・・

この作品に関しては、自分の言いたい事、頭の中にある事を表現したい、というのが第一になってる気がする。

こういう作品に出会うと、世の中では活字(書籍)よりも漫画はずっと下に見られている風潮があるけど、読み始める人間の年齢や読み続けている人間の年齢の幅を考えると、小説などよりよっぽど人一人に与える影響って大きいのじゃ?と思う。


うーむ・・・
うちの親は私が読む本にはノータッチだったような気がするけど、今の世の中の親御さんは、漫画だろうと書籍だろうと我が子の部屋にある活字類にはすべてしっかりと全部読んだ方がいいと思ってしまった今日この頃。




ちなみに、日本テレビ系列で深夜にアニメ化されて放映されているが・・・
ダメダメである。(怒)

2〜3回しか見てないが、原作では印象に残るエピソードの主人公であるキャラクターが常時登場する形になってるし、シリーズ通しての主人公と組織内での序列が逆になってるし。
この漫画の表面的な要素(過去が見える)だけを取り上げて、そこにスポット当てた形になってる。
なんで人気のある原作の、人気のある所以そのものを無しにするのだろう・・・
分からん・・・


posted by 葉山猫 at 18:20| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本 活字 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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